相続と贈与の今後について…。

相続贈与
昨年末の税制改正大綱にて「相続税と贈与税の一体化」が騒がれたのは記憶に新しいですね。結局のところは、継続審議となり「今まで通り贈与税の110万円の非課税枠を利用した相続対策は可能」といった記事を昨年末に書いた覚えがあります。

さて、これら”相続と贈与”に関連する内容となるのですが、先日、「日本税理士会連合会の税制審議会が、相続税・贈与税のあり方についての審議内容を取りまとめ、神津信一会長に答申した。」といったニュースがありました。審議会の答申は日税連が毎年作成する税制改正建議書に反映されることとなります。
近年の資産税改革を巡る議論では、暦年課税制度の基礎控除枠が資産移転の時期として中立的ではない、と指摘されることが多いですね。しかし、今回の答申ではこの基礎控除枠の拡大を求める内容となったようです。そして現行制度では3年となっている贈与財産の持ち戻し期間を長期化することで相続税と贈与税の一体化を図るべきと提案しました。

当初から、暦年課税制度が廃止され年間110万円の非課税枠がなくなれば、年間数万円~数十万円の少額の贈与を当局側がどうやって捕捉し、課税徴収をおこなうのかという懸念は指摘されていましたね。こうした点について今回の答申では「少額の贈与の全てを管理・記録・捕捉するのは極めて困難」と示し、「少額な贈与に係る執行上の問題を解決しない限り、相続税と贈与税の一体化措置を構築することに支障が生じる」として、少額贈与の扱いが資産税改革を考える上で大きな障害になるとの認識を示しました。

今日のコラムはかなり専門的な内容となってしまいました。相続と贈与の今後については今なお議論されている状況です。相続税専門の当事務所としては、今後もこの論点については注目していきたいと思います。

【著者プロフィール】浜田勇毅(はまだゆうき)|そうぞく税理士法人 代表
秋田県秋田市出身の相続専門税理士/行政書士。開業前は全国規模の大手税理士法人にて相続・事業承継の専門家として従事していた。2020年にはまだ税理士事務所を開業し、"相続相談は完全無料"の事業理念のもと、現在まで100件以上の相続案件をサポートした実績がある。相続税申告案件はもちろんだが、多くの行政書士案件(戸籍収集、銀行解約、遺産分割協議の作成など)の経験もある。盛岡市を拠点とし、周辺市町村(滝沢市、矢巾町、紫波町、花巻市、北上市など)のみならず岩手県内全域を対応可能エリアとする。