【税制改正②】改良!相続時精算課税制度

相続税申告
前回のコラムでは、贈与税の課税方式のひとつである暦年贈与についてご説明しました。
税制改正にて110万円贈与の持ち戻し期間が3年から7年に延長されることとなりましたね。

さて、
今回はもうひとつの課税方式である相続時精算課税についてご説明します。
はじめに相続時精算課税についてのおさらいです。
相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前贈与について利用できる制度です。
この制度には2,500万円の特別控除があり、同一の父母または祖父母からの贈与において2,500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります。ちなみに、贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されます。
一見メリットしかない制度のようにみえますが、贈与した人(父母や祖父母)が亡くなった際には、相続時の相続財産に、過去に生前贈与した分も合わせて相続税を課税することとなります。

生前贈与の際の税金を優遇し、高齢者から次世代への財産の移転を促す!ことが背景にあります。
2,500万円の贈与税の非課税枠があるため、一見すると節税に見えますが、実質的には課税の先送りといる制度ですね。

この相続時精算課税ですが、今回の税制改正により大幅に拡充されることとなりました。
具体的にはこれまでは制度適用後に都度必要だった少額贈与の申告が年110万円までは不要となりました。
しかもこの110万円については相続発生時に持ち戻しの対象となりません。

今までは相続税の節税にならないというのが定説であった相続時精算課税ですが、
基礎控除(110万円)が創設され、110万円以下の贈与は持ち戻されないことになり、相続税の節税効果を持つことになりました。

7年間の贈与財産は全額持ち戻すことになった暦年贈与と、 基礎控除110万円以下の贈与は持ち戻されない相続時精算課税。

いったいどちらの方が節税効果があるのかは、ケース・バイ・ケースとなります。
生前贈与、生前対策をご検討の方は、是非弊社の無料相談をご利用くださいませ。

【著者プロフィール】浜田勇毅(はまだゆうき)|そうぞく税理士法人 代表
秋田県秋田市出身の相続専門税理士/行政書士。開業前は全国規模の大手税理士法人にて相続・事業承継の専門家として従事していた。2020年にはまだ税理士事務所を開業し、"相続相談は完全無料"の事業理念のもと、現在まで100件以上の相続案件をサポートした実績がある。相続税申告案件はもちろんだが、多くの行政書士案件(戸籍収集、銀行解約、遺産分割協議の作成など)の経験もある。盛岡市を拠点とし、周辺市町村(滝沢市、矢巾町、紫波町、花巻市、北上市など)のみならず岩手県内全域を対応可能エリアとする。